【後編】お客様は、明日を生きる希望。―深夜0時でも駆けつけるAnの接客哲学と、シングルマザーが描く夢―

【後編】お客様は、明日を生きる希望。―深夜0時でも駆けつけるAnの接客哲学と、シングルマザーが描く夢―

前編を読む▶︎負けるのだけは嫌い―借金からの再スタートをトップ常連に変えた、アンの負けず嫌い人生―

「負けたくない」で走ってきた前編から一転、接客の話になるとAnさんの言葉は「返したい」に変わった。休みの日でも、深夜0時でも、会いに来てくれるなら駆けつける。その理由と、資格を取り続ける先に見据える大きな夢を聞いた。


豆大福:お客様と接客をする上で大事にしていること、意識していることはありますか?

Anさん:会いに来てくれてるお客さんを、やっぱり大事にしていきたい。目の前にいるお客さん一人一人に合った接客を心がけていきたいと思っています。でも最初は自分の素でいって、それを大事にしてくれるお客さんが多いので。友達みたいな感じのお客さんが、結構増えてきましたね。

豆大福:キャラクターは素のままで、とにかくお客さんを大事にする気持ちを常に持ってる、という感じなんですかね。

Anさん:お客さんに「この日出れる?」って言われたら、私が休みの日でも基本出てくるようにしたりとか。行けない時は行けないって言うんですけど、行ける時は基本的に出てきて、お客さんに合わせてあげられるようにはしていて。

豆大福:例えば出勤予定がない日に「1時間後、2時間後に」みたいな直近のご要望でも、行けたら行くんですか?

Anさん:行けたら行きます。いつもダッシュしますよ(笑)。「準備します、準備します」って急いで用意して。夜の12時からお客さんが来るってなったら、「今日お休みだしな」って言いながらも12時に出てきたり。それだけ行って帰るんですけど、いつも(笑)。

豆大福:人間なので、今日は家でゆっくりしたい日ってあるじゃないですか。そういう時はどうやってスイッチをオンにして出勤するんですか?

Anさん:「私に会いたい」って思って会いに来ようとしてくれてるのが、嬉しいと思うタイプなので。与えてもらった気持ちは返したいんです。自分が悩んだ時とかめっちゃ落ち込んだ時とかに、すぐ来てくれたお客さんだったりするので、やっぱりそれは返していきたいなっていう気持ちが大きくて。

豆大福:お客様がそこまでAnさんを大事にしてくれる要因って、ご自身でどこにあると思いますか?

Anさん:気遣いとかは結構できるタイプだと思ってるんで、距離感とか、居心地の良さとか。そういうのを作るのは、すごく意識してます。

あとは、私ずっと広島弁で喋ってて。6年大阪にいても関西弁が喋れなくて、全部広島弁になっちゃうんですけど、方言がめっちゃ喜ばれるんですよ。「何喋ってるか分からない」って言われるんですけど(笑)、「でも可愛い」って(笑)。

豆大福:今後挑戦したいことはありますか?お仕事のことでも、プライベートのことでも。

Anさん:長く愛され続ける女の子でいたいなって思ってます。

豆大福:「長く愛され続ける女性」って、Anさんは具体的にどういう方だと思いますか?

Anさん:この業界でもそうだし、「また必要とされる」というか。「また会いたい」「またこの人の笑顔を見たい」って思い続けてもらえるように。ふと悩んだ時に「私がいる」っていう存在に、これからもなり続けていきたいなって。

豆大福:今後の目標はありますか?

Anさん:今は介護美容の資格と、宅建の資格の勉強をベースにしてて。自分がシングルマザーっていうのも結構あるので、「子供がいても働きやすい会社を作る」っていうのが一個の夢なんです。いろんな資格を持っていれば、自分のやりたいことの幅が広がっていくと思って、いろんな資格にチャレンジしています。

豆大福:へー!お子さんがいる女性が働きやすい会社を作るのが夢なんですね!

Anさん:それが今は一番でかいですね。私、広島から大阪に子供二人を連れて、一人で出てきちゃったので。預ける場所もなく、行く場所もなく。今は家が近いお姉ちゃんが夜も面倒を見てくれたりして成り立ってるけど、昼の仕事でって考えた時に、預かってもらえるところが本当になくて、困っちゃって。ヤクルトレディーとかいろいろやったんですけど、保育園が隣なのに「5時に迎えに来てね」とか、「熱が出たら連れて帰ってね」とか言われて。病児保育を使わないとシングルには難しい世界だったので、そういうのじゃない、お母さんも働きやすい会社を作っていきたいなと思ってて。

豆大福:Anさんにとってお客様って、どういう存在だと思いますか?

Anさん:自分が、明日を生きる希望。お客さんが来てくれてるから、私らもお仕事ができてるわけだから。来てくださることに毎回感謝しますし、お客さんがいてこそのことなので。お客さんがいるから「明日も頑張って仕事行こう」って、明日も一日生きていくことができる。すごく、なくてはならない存在だなと思います。

豆大福:必要とされることで気持ちも満たされている部分がすごくあるんですね。

Anさん:そうなんです。来てもらわないと私らは生活もできないし、来てもらうことに一番感謝してるし、来なければ始まらない職業なので。ただプレイするだけじゃなくて、お話したりとか、人間と人間の繋がりなんで。そこはすごく楽しいお仕事だなと思ってます。

豆大福:お客様との接客の時間で、お話ししてる時間も長いんですか?

Anさん:そうですね。お話しメインみたいな感じのお客様も多くいて。お話だけしに来る方も、たまにいます。「いいよいいよ、話そうよ」って言って、人生について語ってる方が来たりして(笑)。お客さんからいろんな人生の生き方とか、私が知らない考え方を教えてもらうので、そこで一個勉強だなって。落ち込んだ時に「あなたはあなたの良さがあるよ」って言ってくれるお客さんもいるし、「ランキングとかじゃなくて、あなたに会いたいと思って来てるんだよ」って言ってくれるお客さんもいるからこそ、私がまた明日も頑張って働こうと思えるんです。

豆大福:お話だけしに来てくれるって、究極の接客ですよね。何でも話せてしまう雰囲気もあるし、Anさんご自身のお話を聞きたくて会いに行く、というのもあるかもしれないですね。

Anさん:私、来たお客さんに「なんでこの仕事してるの?」って聞かれたら、何も隠さないで喋っちゃうから。「喋っちゃうんだ」って(笑)。SNSとかではそういうの書かないから、来なきゃ分かんない。みんな聞いて「そういう理由だったんだ、逆に応援したくなる」ってよく言ってもらえて。「じゃあ僕もこういうのがあってさ」みたいに話してくれて。結局みんなで「人生、生きてればなんとかなるよね」って、いつもそういう形で(笑)。

豆大福:素敵な関係ですね!では最後に、ちょっと無茶ぶりなんですけど、アインズプレスを読んでいただいている方に一言メッセージをいただけますか?

Anさん:そうですね……また、会いに来れたら会いに来てくださいね(笑)。


「お客様は、明日を生きる希望」。その言葉に、大げさな響きはひとつもなかった。借金を背負い、子供二人を連れて知らない街に来て、それでも「負けたくない」と資格を取り続け、いつか「お母さんが働きやすい会社を作る」と真っ直ぐに言う。深夜0時でもダッシュで駆けつけるあの行動力は、全部「返したい」から来ている。会いに行けば、きっと分かる。彼女の居心地の良さは、生き様そのものだ。

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  • An
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豆大福
ライター

豆大福

甘党ですが和菓子は苦手です
ちなみに豆が食べれません